炭素繊維シート巻立
耐震能力に問題がある橋脚などをコンクリート・鋼板・繊維シートで巻立補強し所要の強度を確保
炭素繊維は鉄の約10倍の引張り強度を有し、重量は鉄の約1/4ときわめて比強度が高い材料である。
一般に炭素繊維補強と呼ばれている補強方法は、炭素繊維を敷き並べたシートを、エポキシ樹脂を含浸させながら柱の周面に巻きつけるシート貼り工法を指す。
シート貼り工法は、求める耐震強度により2層以上に巻立てる場合もある。その場合、一層目は垂直方向、二層目は水平方向に巻く場合が多い。
さらに、炭素繊維は火災に弱いため、表層を樹脂モルタルで仕上げる場合が多い。
また、柱コーナー部での炭素繊維の破断を防ぐために、コーナー部を半径30mm以上の円形に成形する必要がある。
この成形作業を省略する目的で考案されたのが炭素繊維成形板工法である。
これは、炭素繊維をエポキシ樹脂で固めて加工した板を現地にて建て込み、継ぎ目を炭素繊維の後貼りにて一体化し、隙間に高流動モルタルを注入するものである。
炭素繊維シート巻立ての手順は下記の通り。
炭素繊維シート巻立
- ①下地処理(ブラスト)
- ディスクグラインダや、ウォータージェットなどにより、表面の付着物や脆弱部分を取り除く。
- ②プライマー塗布
- コンクリートと中塗り材、あるいは不陸調整材(パテ)との付着力を高めるために塗布する。
- ③パテ処理(不陸整正)
- 仕上がりを平滑にするために不陸部分をパテで埋める。
- ④一層目含浸樹脂塗布(下塗り)
- プラスティック層を形成する。
- ⑤一層目巻立て
- プラスティック層を形成する。
- ⑥一層目含浸樹脂塗布(上塗り)
- プラスティック層を形成する
- ⑦二層目含浸樹脂塗布(下塗り)
- プラスティック層を形成する
- ⑧二層目巻立て
- プラスティック層を形成する
- ⑨二層目含浸樹脂塗布(上塗り)
- プラスティック層を形成する
- ⑩仕上げ材塗布
- 美観も考慮した仕上げと表面保護をかねる。
美観も考慮した仕上げと表面保護をかねる。 |
対象構造物
橋梁